コラム

農家のLINE直販に興味はあるけれど、こんな悩みを抱えていませんか。
この記事では、ITが苦手な農家でも実践できるLINE直販の始め方を、公式アカウントの開設から顧客への告知・販売・リピート獲得まで順を追って解説します。実際にLINE直販へ移行した農家の事例と具体的な数字も交えているので、「自分にもできるかどうか」の判断材料として読んでいただけます。
本記事のポイントは以下のとおりです。
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農家がLINEを使って直接消費者へ野菜や果物を販売する仕組みを「LINE直販」と呼びます。LINEの「公式アカウント」を農家が開設し、興味をもった消費者に友だち登録してもらうことで、収穫情報・価格・注文方法をメッセージで届けられます。
ECサイトのような複雑な構築は不要です。農家自身が毎日使い慣れているLINEの操作感でそのまま販売活動ができる点が、ほかのどの販売チャネルとも違う特徴です。

農家がLINE直販に注目する理由は「低コスト・高開封率・操作のしやすさ」の3点に集約されます。
LINE公式アカウントのフリープランは月額0円で、月に200件までメッセージを無料送信できます。小規模農家がスタートするのに、費用面のハードルはほとんどありません。
メールマガジンの平均開封率は一般的に20〜30%程度とされています。一方、LINEのメッセージ開封率は、メールと比較して高い水準にあると報告されています。
なお、開封率の実測値は配信内容や友だちリストの質によって大きく異なるため、あくまで参考値としてご認識ください。
LINEの国内月間アクティブユーザー数は、LINEヤフー株式会社の公表資料によると約9,800万人とされています。
【引用】LINEの月間利用者数は9,800万人、Yahoo!
JAPANの月間利用者数は5,400万人。日本の人口の約8割以上をカバーしています。
引用元:LINEヤフー媒体資料(11ページ)|LINEヤフー株式会社(最終閲覧日2025年6月)
農家自身も日常的に使っているツールなので、操作を新たに覚える必要がなく、心理的なハードルが低いです。
これら3点が重なることで、農家にとってLINEが「始めやすく、続けやすい」直販チャネルになっています。
LINEを選ぶ前に、代表的な直販チャネルとの違いを整理しておきます。
| 比較項目 | LINEの公式アカウント | ECサイト(BASE・Shopify等) | 産直サイト(食べチョク・ポケットマルシェ等) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 無料 | 無料〜数万円 | 無料 |
| 手数料 | 無料〜(有料プランは別) | 3〜6%前後(目安) | 15〜20%前後(目安) |
| 構築の難易度 | 低い(LINEアプリ内で完結) | 中〜高(ショップ設計が必要) | 低い(出品登録のみ) |
| 集客力 | 自力で友だちを集める必要あり | 検索流入がある | プラットフォームの集客に依存 |
| 顧客との関係性 | 直接・双方向のやりとり可 | 一方的な情報提供が中心 | プラットフォームが間に入る |
| 決済方法 | 振込・PayPayなど自己手配 | カード決済完備 | プラットフォームが代行 |
※手数料率はプランや条件によって異なります。最新の料率は各サービスの公式サイトでご確認ください。
この表を見ると、LINEは「手数料が低く・運用が簡単・関係性を深めやすい」一方で、「集客は自分でやる必要がある」という点が明確になります。
集客の課題は、産直市場や地域のイベントでQRコードを配るなど、オフライン接点を活用することで補えます。

「LINEに切り替えると利益がどう変わるか」を試算例で見てみます。野菜の売上が月30万円の農家のケースで考えます。
| 販売チャネル | 手数料率(目安) | 差し引かれる金額(目安) | 手元に残る金額(目安) |
|---|---|---|---|
| JA共販 | 約15% | 約4.5万円 | 約25.5万円 |
| 産直サイト | 約18% | 約5.4万円 | 約24.6万円 |
| LINE直販(送料・決済費用込み) | 約3〜5% | 約0.9〜1.5万円 | 約28.5〜29.1万円 |
※上記はあくまでモデルケースによる試算です。JA手数料・産直サイト手数料はJAの種別・産直サイトのプランによって異なります。実際の手取り額は販売量・送料・梱包費用等によって変動します。
この試算では月あたりの差が約3〜4万円、年間では約36〜48万円の違いになります。子どもの進学費用や農業機械の更新費用を考えると、この差は農家の家計に直接影響する可能性があります。
ただし、これはLINE直販のみで月30万円の売上を維持できた場合の試算です。最初から全量をLINE直販に切り替えるのはリスクがあるため、JA出荷を維持しながら一部をLINE直販に回す「並行運用」から始めるのが賢明な判断でしょう。
「実際にLINE直販へ移行した農家が、どのように受注・管理・リピート獲得を仕組み化したか」の具体的な事例を確認したい方は、以下のページをご覧ください。自分と近い規模・状況の農家の実例が参考になります。
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実際に動き始める前に、3つの前提を理解しておくことが後の失敗を防ぎます。「やってみたけど全然売れなかった」という農家の多くは、この前提を飛ばしてツールの設定だけをしたのが原因です。仕組みの理解と自己診断をここでしっかりおこないましょう。
多くの農家が最初に混乱するのが「公式アカウント」と「個人アカウント」の違いです。
個人アカウントは、家族や友人と1対1・グループでやりとりするための通常のLINEです。直販に使うと、プライベートな連絡先が顧客に見えてしまったり、利用規約上の問題が生じたりするリスクがあります。
公式アカウント(LINE Official Account)は、ビジネス用途向けに設計されたアカウントです。複数の顧客に一斉メッセージを送れるほか、友だち登録者のみに情報を届けられます。個人情報の管理も明確に分離できます。
| 項目 | 個人アカウント | 公式アカウント |
|---|---|---|
| 一斉送信 | ×(グループLINE限定) | ○ |
| ビジネス利用 | 規約上グレーゾーン | ○(正式に認められている) |
| 分析機能 | なし | あり(開封率・友だち数など) |
| 月額費用 | 無料 | フリープランは無料 |
| 開設の手間 | なし(すでにある) | 10〜15分で開設できる |
※各プランの仕様・料金は変更される場合があります。最新情報はLINEヤフー株式会社の公式サイトでご確認ください。
直販に使うなら、必ず「公式アカウント」を開設してください。個人アカウントでの販売はトラブルの原因になります。
LINE直販は、すべての作物に同じように向いているわけではありません。向き・不向きを事前に理解しておくことで、販売戦略がぶれにくくなります。

| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 向いている作物 |
〇鮮度が価値になる野菜(ほうれん草・トマト・きゅうり・とうもろこしなど) 〇季節感・希少性を打ち出せる果物(いちご・ぶどう・梨など) 〇加工品(味噌・漬物・乾燥野菜など) 〇米・乾燥豆類(保存が利くのでまとめ買いニーズがある) |
| 向いていない作物 |
△大量生産・規格品競争になるもの(大手スーパーと価格勝負になりやすいもの) △輸送中に傷みやすく、クレームリスクが高いもの(完熟直前の桃など) |
LINE直販が機能する核心は「農家との直接的なつながりと物語」です。「この農家の誰が、どこで、どう育てたか」が伝わる作物ほど、消費者は付加価値を感じて購入を決めやすくなります。スペック(形・大きさ・価格)で勝負する作物はLINE直販より卸・産直サイト向きと考えられます。
LINE直販に取り組んで収益が上がる農家と、そうでない農家には明確な差があります。以下のチェックリストで自己診断してみてください。
【収益化できる農家の特徴チェックリスト】
3つ以上当てはまれば、LINE直販を始める下地は十分にあります。0〜1個の場合は、まず産直市場での対面販売を3か月継続し、常連客との関係をつくることを先に行うのが現実的です。
収益化できない農家に共通するのは「ツールを設定しただけで、メッセージを送らなくなること」です。LINEはあくまで連絡ツールです。使い続ける習慣がなければ、どんなに設定が完璧でも意味をもちません。

ここからは実際の開設手順を順を追って説明します。スマホだけで全工程が完結します。所要時間は15〜30分程度です。

LINE公式アカウント開設の主な流れは以下の通りです。
これだけでアカウントが開設できます。「LINE Official Account Manager」という管理画面にアクセスすると、メッセージの送信・友だち数の確認・分析ができます。開設直後に設定しておくべきは、以下の3点です。
| 設定項目 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| プロフィール写真 | 農地や作物の写真(顔写真があるとなお良い) | 信頼感・親近感が上がる |
| あいさつメッセージ | 友だち登録直後に自動送信されるメッセージ | 第一印象が決まる |
| 基本情報(営業時間・住所など) | 農園の場所・対応時間を記載 | 問い合わせ対応の手間を減らす |
この3点は、友だち登録してくれた人が「信頼できる農家かどうか」を判断する材料になります。販売を始める前に必ず整えておきましょう。設定にかかる時間は30分程度です。
アカウントを作っても、友だちが0人では意味がありません。農家に合った集客方法を3つ紹介します。
QRコードはLINE公式アカウントの管理画面から「友だち追加」→「QRコード」で取得できます。そのQRコードをA4用紙に印刷し、産直市場の出品に1枚添付します。「LINEで収穫情報お届けします」と一言添えるだけで、すでに商品を買ってくれた顧客に登録してもらいやすくなります。
すでに電話や個人LINEで野菜を買ってくれている知人がいれば、公式アカウントへの移行をお願いします。「今後はこちらで収穫情報を送ります」と伝えるだけで、初期の友だちリストが20〜30人になることもあります。
農業フェアや朝市に出店し、その場でLINE登録を促します。その場で登録した人には「次回10%引き」などの特典を用意すると登録率が上がる場合があります。
100人規模に到達すると、1回のメッセージ配信で野菜セット10〜20箱分の受注が入るサイクルが生まれやすくなるとされています。最初の3か月は「売上よりも友だちを増やすこと」を目標にしてください。
友だちが集まったら、最初のメッセージを送ります。最初のメッセージが「広告っぽい」と感じられると、すぐにブロックされることがあります。
成功するメッセージの3原則は以下の通りです。
アカウント開設後、注文受付・在庫管理・顧客対応をLINEだけでこなすのが大変に感じてきたら、専用ツールとの連携が有効です。実際に農家がどのように運用を仕組み化しているか、事例ページで確認してみてください。
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一度買ってもらえた顧客をリピーターにする仕掛けをもつことが、LINE直販を長続きさせるコツです。新規顧客を獲得するコストは、既存顧客にリピート購入してもらうコストより高くなる傾向があるとされており、既存顧客との関係を育てることが経営効率の向上につながります。以下の3つの仕掛けは、特別な知識がなくても今日から実践できます。
収穫の1週間前に「来週、ほうれん草が収穫できそうです。先行予約を受け付けます」と送るだけで、顧客は「次の購入タイミング」を頭に入れてくれます。
この仕掛けには2つの効果があります。
収穫予告メッセージを継続的に配信することで、リピート率の向上につながったというケースもあります。メッセージ1通の送信時間は数分以内で済むことがほとんどです。
「今週は20箱限り」という数量制限をつけるだけで、購入の意思決定が早まりやすくなります。「いつでも買える」と感じると購入を後回しにしやすいですが、「今週しか買えない」と感じると行動につながりやすくなります。
限定販売メッセージの例は以下の通りです。
このメッセージは「短く・具体的・行動しやすい」という3つの条件を満たしています。長文で説明しすぎると読まれにくくなります。
消費者がリピート購入する理由のひとつは「この農家を応援したい」という感情です。農作物の品質だけで選ぶなら、スーパーで買えばいいからです。
ストーリーを伝えるのに、特別な文才は不要です。「今年の夏は害虫に悩まされましたが、農薬を増やさずに手作業で対応しました。そのぶん、少し不格好な形の野菜も混じっていますが、味は保証します」という一言が、消費者の共感をつくります。
ストーリーメッセージを続けるコツをまとめます。
3つのコツに共通するのは「農家自身の言葉で、そのまま届ける」という姿勢です。完璧な文章は必要ありません。農場での出来事や正直な気持ちを積み重ねていくことが、「この農家から買いたい」というリピートの動機をつくります。

仕組みを整えても、思うように友だちが増えなかったり、ブロックされてしまうことがあります。多くの場合、原因はツールではなく「使い方の小さなズレ」です。よくある失敗と、その対処法を確認しておきましょう。
LINE直販を始めた農家がつまずきやすいポイントは、大きく4つに絞られます。それぞれに共通しているのは「むずかしい問題ではなく、やり方を少し変えるだけで解消できる」という点です。自分の状況と照らし合わせながら、次の表を確認してみてください。
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 友だちが10人以下で止まる | QRコードを配る機会がない | 産直市場の出品に毎回添付する |
| ブロック率が高い | メッセージが広告文になっている | 農場の日常・収穫の様子を先に書く |
| 注文が入らない | 注文方法がわかりにくい | 「返信するだけ」のワンアクションにする |
| 続かない | メッセージ作成に時間がかかる | テンプレートを3種類作って使い回す |
テンプレートの例(収穫報告型)は以下の通りです。
このテンプレートに当日の情報を埋めるだけで、短時間でメッセージが完成します。
LINE直販が軌道に乗ると、1回の配信で想定以上の注文が入ることがあります。これは嬉しい悩みですが、対応が追いつかないと顧客の信頼を損なうリスクがあります。
「今週は20箱限り」と最初から上限を設定することで、注文が殺到する前に自然な調整ができます。売り切れた場合は「次回の収穫時にご案内します」と返信するだけで済みます。
LINEのトークでやりとりを続けると、注文内容・発送先・入金確認が混在して管理できなくなります。受注管理に特化したツールを使うことで、注文の見落としや二重発送を防げます。Lineupのような農家向けツールは、LINE公式アカウントとの連携を前提に設計されており、注文・決済・発送管理を一元化できます。
毎日発送しようとすると梱包・伝票作成・集荷依頼が毎日発生し、農作業と並行できなくなります。「発送は毎週火曜・金曜」のように固定することで、農作業のスケジュールに発送業務を組み込みやすくなります。
LINE直販を始める農家がもっとも心配するのが「JAとの関係をどうするか」という点です。結論として、最初からJA出荷をやめる必要はまったくありません。
現実的なのは、以下のような並行運用の考え方です。
| フェーズ | JA出荷の割合 | LINE直販の割合 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 開始期(1〜3か月目) | 90% | 10% | LINE直販の仕組みをつくる・友だちを増やす |
| 安定期(4〜6か月目) | 70% | 30% | リピーターを育てる・受注管理を整える |
| 拡大期(7か月目〜) | 50〜60% | 40〜50% | 利益率の高い直販比率を上げていく |
JA出荷は「数量・品質規格の安定した出口」として機能します。直販で売り切れなかったぶん・規格外品・余剰分をJAに回す形にすれば、収入の安全網として機能し続けます。どちらかを「捨てる」のではなく、補完関係として設計することがリスク管理の上でも合理的です。
農家のLINE直販は、公式アカウントを開設するだけなら今日中に始められます。
まずは産直市場でQRコードを配り、顔見知りの常連客に友だち登録してもらうことが最初の一歩です。友だちが100人を超えると、収穫予告と少量限定販売の組み合わせでリピート購入が生まれるサイクルができてきます。
「ITが苦手だから無理」という不安は、LINEが日常のツールである以上、思っているよりずっと小さな壁です。JA出荷を続けながら少しずつ直販の割合を増やしていく並行運用が、失敗リスクをおさえながら収益を育てていく現実的な道です。
あなたが丁寧に育てた野菜を、正当な価格で届けられる未来は、LINEひとつから始まります。LINE直販の受注管理・顧客対応を仕組み化した農家の具体的な事例は、以下のページでご確認いただけます。
LINE直販を始めた農家が、受注管理・リピート獲得・売上安定化をどのように実現したか。実際の活用事例を参考に、自分に合った運用イメージを描いてみてください。
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